
ピルには、日常的に服用する低用量ピルやミニピル、緊急避妊を目的として服用するアフターピルなどの種類があります。
「低用量ピルの服用を続けているけど、受診せずに処方を受けられないの?」「アフターピルが必要で産婦人科に行きたいけど、すぐにもらえるのか心配」などの疑問を抱えている方もいるのではないでしょうか。
ピルの処方を受ける場合は、基本的に医師の診察が必要です。
以下では、産婦人科でピルだけもらうことができない理由や処方までの手順、受診の必要性について解説しているため、ピルの処方を検討している方は参考にしてください。
産婦人科でピルだけもらうことはできる?

産婦人科では、診察を受けずにピルだけをもらうことは原則としてできません。
ピルは医療用医薬品で処方が必要
医薬品は、主に医療用医薬品と一般用医薬品の2つに分けられます。
- 医療用医薬品:医師の診断のうえで発行される処方箋に基づいて薬剤師が調剤し、処方される医薬品
- 一般用医薬品:一般の人が薬局やドラッグストアなどで購入し、自身の判断で使用できる医薬品
産婦人科で取り扱っているピルは、入手において医師の診断が必要な医療用医薬品に該当します。
適切な管理のもとで処方されることを前提として有効性や安全性が審査されているため、医師の判断なしにもらうことはできません。
医師の判断なしに使用できるピルは海外から個人輸入された偽薬である可能性もあり、健康被害のリスクが懸念され危険です。
アフターピルは一部の薬局で購入できる
ピルの入手には基本的に医師の診察が必要ですが、一部の薬局ではアフターピルを処方箋なしで購入することが可能です。
ただし、アフターピルを薬局で入手するためには以下の条件を満たす必要があります。
- アフターピルの販売が可能な薬局である
- 厚生労働省が指定するアフターピルの研修を修了した薬剤師がいる
- アフターピルの服用に影響する既往歴や服薬履歴がない
- 妊娠の可能性がある性交渉から72時間以内
- 使用する本人が購入し薬剤師の面前で服用する(本人確認あり)
アフターピルを薬局で購入する場合は、アフターピルに関する研修を修了した薬剤師による薬の注意点についての説明を直接受けたうえで、その場で服用する必要があります。
すべての薬局で取り扱いがあるわけではないため、在庫状況や担当薬剤師の有無を事前に電話で確認しましょう。
また、不正利用や転売防止の観点から、代理での受け取りはできず、本人の利用が義務付けられている点にも注意が必要です。
人前でアフターピルを服用することに抵抗を感じる方もいると思いますが、個室やパーテーションで仕切られた空間など、プライバシーに配慮してもらえるケースが多いです。
店舗でアフターピルを購入できる条件を満たしていない場合は、医療機関の受診が必要になります。
24時間営業の薬局でも、アフターピルの販売が可能な薬剤師が不在のケースもあるため、注意が必要です。
婦人科でも処方を受けられる
ピルの処方は、産婦人科に限らず婦人科でも受けることが可能なため、産科的な相談がない場合はお近くの婦人科の受診をご検討ください。
アフターピルは妊娠の可能性がある性交渉からできるだけ早く服用することが大切であるため、すぐにもらえないと不安になるケースもあるでしょう。
多くの婦人科では、緊急性が高いアフターピルを求める方に対し、予約不要で受診できる体制を整えています。
婦人科を利用する際は事前に連絡をし、処方までにどれくらいの時間がかかるのかを確認することをおすすめします。
ピル処方までの流れ

ピルの処方は、オンライン診療または対面診療で受けることが可能です。
以下では、ピルが処方されるまでの手順について詳しく解説します。
オンライン診療の場合
オンライン診療でピルの処方を受けるまでの手順は、以下の通りです。
- 公式サイトや専用アプリでアカウントを作成し、診察の予約を取る。
- 問診フォームで年齢・既往歴・喫煙状況・症状などを記入する。
- オンラインで診察を受け、服用の目的の確認や飲み方・副作用の説明を受ける。
- クレジットカード決済(サービスにより異なる)を行う。
- 指定した住所または薬局でピルを受け取る。
ピルのオンライン診療は診療当日から翌日の発送が主流で、翌日までには受け取れるケースが多いです。
包装や発送元の名前、品名の記載などを工夫することで、外からはピルと分かりにくい配慮がされています。
ただし、オンライン診療では血液検査や血圧測定などを受けられないため、対面診療よりも副作用や血栓症などのリスクを見逃しやすいことを理解しておく必要があります。
対面診療の場合
産婦人科の対面診療でピルの処方を受けるまでの手順は、以下の通りです。
- 電話またはWEB予約で診察の予約を取る。
- 受付・問診票の記入を行う。
- 血栓症のリスク判断に必要な検査を行う。
- 問診票をもとに医師の診察を受ける。
- 処方箋発行後、処方されたピルを受け取る。
産婦人科では、問診や必要に応じた検査を行い、ピルの服用に問題がないことを確認したうえで処方箋が発行されます。
診察の際は、問診票に記入した内容や年齢、既往歴や喫煙の有無などをもとに血栓症のリスク要因がないか確認します。
また、低用量ピルを継続的に服用している方には、定期検診を推奨している産婦人科が多いです。
ピルをもらいに行くタイミング

低用量ピルやミニピルの処方を希望する場合、基本的にはいつもらいに行っても問題ありませんが、飲み始めるタイミングに合わせた産婦人科の受診をおすすめします。
生理初日に飲み始める場合
生理初日にピルの服用を開始する場合は、生理開始日の数日前か、開始日当日に受診するのがおすすめです。
生理初日の服用開始はピルを飲み始めるタイミングのなかでも一般的な方法で、服用を始めたその日から避妊効果を得られるとされています。
数日前にピルを入手しておくことで、スムーズに服用が開始できます。
また、生理初日に産婦人科を受診すると、生理不順がある方や不正出血がある方でも生理の出血であることが確認でき、初日の飲み忘れの防止にも有効です。
生理開始~5日以内に飲み始める場合
生理開始から5日以内にピルの服用を開始する場合は、数日前か生理中に受診しましょう。
生理中に受診することで、生理痛の程度や出血量など、生理の気になる症状を曖昧な記憶ではなくリアルタイムで伝えられます。
また、生理不順の原因を診断したい場合には、ピルの処方とホルモン検査(生理開始から3〜5日の検査が最適)、生理の状態の確認などを一度に受けられるため、効率的です。
ピルを生理開始日以外に飲み始めた場合、連続して7日間服用するまでは避妊効果が安定しないため、必要に応じて他の避妊方法を併用することが大切です。
すぐに飲み始めたい場合
ピルの服用をすぐに開始したい場合も、思い立ったその日に受診することで当日から始められる可能性があります。
ピルは生理初日に飲み始めるのが一般的ですが、生理開始後の最初の日曜日に服用を開始するSundayスタートや、好きなタイミングですぐに服用を開始するクイックスタートなどの方法もあります。
ただし、生理日以外に服用を開始する場合は、妊娠の有無が定かではないケースもあるため、医師に相談のうえでピルを飲み始めてもいいか確認することが大切です。
いつ受診するか悩んでいるうちに服用できるタイミングを逃してしまわないよう、ピルを検討している場合は自分の希望に合わせて早めに受診することをおすすめします。
生理をずらす場合はピルをもらいに行くタイミングが大事
生理をずらす目的でピルをもらいに行く際は、生理と被らせたくないイベントの1ヶ月前には受診するのが理想です。
中用量ピルを使用して生理を早める場合、ずらしたい生理の1つ前の生理開始から5日以内に飲み始め、1日1錠を10〜14日以上連続で服用すると、飲むのをやめた2〜3日後に生理が来ます。
反対に生理を遅らせたい場合は、ずらしたい生理予定日の5日前から服用を開始し、生理を避けたい期間中は服用を継続します。
早める場合は最低でも2週間前、遅らせる場合は最低でも5日前までの受診が必要です。
余裕をもって1ヶ月前に受診すれば、両方のプランを検討し医師と相談したうえで、より自分に合った方法を選択しやすくなります。
ギリギリすぎるタイミングでの受診や服用開始は、生理移動に失敗するリスクが高まるため、注意しましょう。
産婦人科で2回目以降はピルだけもらえる?

ピルは1周期に1シートのサイクルで服用しますが、2回目以降のシートを処方してもらう場合にも原則として医師の診察が必要です。
ただし、一度に数シート分のピルを処方してもらった場合は、医師に指示された場合や気になる症状がある場合を除き、1シート服用するたびに受診する必要はありません。
何度かピルの処方を受けていて、特に問題がなく飲み続けられているケースでは、問診や血圧測定などの簡易的な診察のみでスムーズに処方が受けられる場合もあります。
2回目以降のピルの処方を受ける際は、1シートすべてを飲み終わる前に早めに受診し、次のシートの服用開始時には新しいシートが手元にある状態にしましょう。
高校生がピルだけもらうことはできる?

低用量ピル、アフターピルに関わらず、高校生だけでピルの処方を受けられる場合もありますが、医師の診察に加え、保護者の同意が必要になる可能性があります。
高校生がピルの処方を受けるにあたって、保護者の同意を得ることは法律上の義務ではありませんが、安全面やトラブルのリスクを考慮して保護者の同意を求める産婦人科は少なくありません。
どうしても一人で受診したい方は、高校生のみで受診することは可能か、保護者の同意書は必要かについて事前に確認することをおすすめします。
緊急避妊を目的としている場合、保護者にバレたくないケースもあるかとは思いますが、決断を先延ばしにすることは避けましょう。
ピルの処方に医師の診断が必要な理由

ピルの処方に医師の診断が必要な理由は、主に以下の5つです。
- 目的や症状に合わせて適切な種類を選択するため
- 血栓症のリスクを判断するため
- ピルには服用が禁忌になる方もいるため
- トラブルが起こった際の対処が難しくなるため
- 薬の情報を正しく知るため
それぞれの理由について詳しく解説します。
目的や症状に合わせて適切な種類を選択するため
ピルには低用量ピル・中用量ピル・アフターピル・ミニピルなどがありますが、そのなかでも複数の種類があり、より目的や症状に合わせたものを選択することが大切です。
ピルには避妊のほかに、PMSや生理中の気になる症状に働きかける作用も期待できます。
それだけではなく、生理痛が辛い、ニキビや肌荒れを改善したい、過去にピルで副作用が出たなど、より細かな悩みに合わせて選ぶことが可能です。
診察を受けることで、医師が実際に患者様の体質を確認したうえで目的に適した種類を選択できるメリットがあります。
血栓症のリスクを判断するため
ピルの処方を受けるためには、血栓症のリスクを高める要因がないか、検査や問診によって事前に確認する必要があります。
ピルに含まれるエストロゲンには血液を固まりやすくする作用があるため、血栓症のリスクが高い方は処方を受けられないケースが多いです。
万が一血栓症になった場合、脳梗塞や心筋梗塞などの重篤な症状につながる恐れもあり、危険です。
特に服用を始めてから数ヶ月は、血栓症になるリスクが高まるとされているため、体調の変化に注意して過ごしましょう。
ピルには服用が禁忌になる方もいるため
ピルは、服用が禁忌となるケースや慎重な判断が必要なケースがあるため、服用できない方の特徴に当てはまっていないか処方前に確認します。
40歳以上で初めてピルを服用する方や1日15本以上タバコを吸う方、高血圧症の方をはじめ、乳がんや子宮体がんなどの既往歴がある方はピルの処方が受けられないケースが多いです。
禁忌となる条件に当てはまる方が自己判断でピルを使用すると危険なため、必ず医師の判断のもとで処方を受けましょう。
トラブルが起こった際の対処が難しくなるため
診察をせず、ピルのみの処方が受けられる場合、万が一トラブルが起こった際に対応が難しくなる恐れがあります。
例えば、ピルは他の薬との飲み合わせで効果が弱くなったり、反対に強くなったりする場合がありますが、医師が患者の服用している薬を事前に把握していないと、原因の判断がしづらくなる可能性があります。
問診を通して患者の体質や状態を確認しておくことで、身体の不調が起こった際の適切な対応につながるでしょう。
薬の情報を正しく知るため
ピルの処方を受けるための診察は、薬の特徴や注意点を正しく理解するためにも必要であるといえます。
ピルは避妊や生理痛、PMSの改善などに効果が期待できることで知られていますが、リスクや副作用を知らずに服用を検討している方もいるでしょう。
適切な飲み方を守らないと効果が得られない可能性もあるため、マイナートラブルについて事前に確認するだけでなく、服用の仕方や継続するうえでの注意事項を守ることが大切です。
まとめ
産婦人科でピルだけもらうことは基本的にはできませんが、産婦人科を受診して正しい手順で入手することでさまざまなトラブルの回避につながります。
医師の診察を受けないとピルが入手できないのは手間に感じる場合もありますが、身の安全を守るために法律で定められている仕組みです。
代行や個人輸入による入手は避け、自分自身で産婦人科を受診するようにしましょう。
高村医院では、1951年の開院以来、多くの女性のお悩みを解決に導く産婦人科の診療を行ってまいりました。
低用量ピル・中用量ピル・アフターピル・ミニピルまでさまざまな種類を取り扱っており、患者様の体質や希望に合わせて適切なものを処方いたします。
スリンダ(ミニピル)やミレーナ(子宮内避妊システム)など、低用量ピルの代替法も選択可能なため、ピル・避妊・生理に関するお悩みはぜひ当院にご相談ください。
