
ピルを初めて飲む方のなかには、「ピルの飲み始めはいつでもいいの?」「ピルを飲み始めたけど、避妊効果があるのか心配」などの不安を抱えている方もいるのではないでしょうか。
ピルは、種類によって適切な服用開始のタイミングが異なります。
避妊効果を得たい場合や、旅行・試験・結婚式などのイベントに合わせて生理周期をコントロールしたい場合など、目的に合わせた始め方を選択することが大切です。
この記事では、低用量ピルをはじめとしたピルの服用を開始するタイミングや、効果が現れるまでの期間について解説します。
ピルの効果を十分に発揮するためには、適切な方法で服用する必要があるため、この記事をピルの服用を始める前の参考としてご活用ください。
低用量ピルの服用を始めるタイミング

低用量ピルの服用は、妊娠していないことが確認できたタイミングで開始する必要があるため、生理中に飲み始めるのが基本です。
以下では、具体的な飲み始めのタイミングを2通り紹介します。
生理初日から
生理開始から24時間以内に低用量ピルを飲み始める方法を「Day1スタート」といいます。
低用量ピルの一般的な服用開始方法で、その日から高い避妊効果が期待できるとされています。
初日の服用が難しい場合は、生理開始日から5日以内までであれば問題なく飲み始めることが可能です。
ただし、7日間連続で服用するまでは避妊効果が安定しない可能性があるため、必要に応じて他の避妊方法を併用しましょう。
生理開始後の日曜日から
生理が始まってから最初の日曜日を1日目として低用量ピルの服用を開始する飲み方を、「Sundayスタート」といいます。
日曜日に生理が始まった場合はその日から低用量ピルを飲み始め、月曜日から土曜日の間に生理が始まった場合は次の日曜日から服用を開始します。
ピルの服用中は、消退出血という生理に似た出血が起こる可能性がありますが、Sundayスタートの場合は消退出血が土日に被りにくいため、週末を快適に過ごしたい方におすすめです。
生理日以外に低用量ピルの服用は開始できない?

ピルは生理初日の服用開始が基本ですが、場合によっては生理日以外に服用を開始することも可能です。
生理日に関係なく低用量ピルの服用を開始する方法をクイックスタートといい、正しい方法で飲み続けることで十分な効果が期待できます。
ただし、生理初日以外のタイミングで服用を開始した場合はすぐに避妊効果が得られないため、避妊を目的としている場合は別の方法を併用する必要があります。
ピルの服用開始については、医師とよく相談のうえで正しい方法を選択することが大切です。
低用量ピルの正しい服用方法

低用量ピルには21錠タイプと28錠タイプの2つのタイプがあり、それぞれ飲み方が異なります。
21錠タイプの場合
21錠タイプの場合は、1シートに含まれる21錠の錠剤を毎日1錠ずつ決まった時間に服用し、すべて飲み終えたら7日間の休薬期間を設け、新しいシートを開始します。
毎日決まった時間に服用するのが基本で、飲み忘れのタイミングや日数にもよりますが、服用予定時間から12時間以上ズレると効果が低下する可能性があるため、注意が必要です。
また、21錠タイプの場合は休薬期間を自分で管理する必要があります。
休薬期間を数え間違えると低用量ピルの効果に影響する恐れがあるため、アラームやリマインダー、服薬管理アプリなどを利用した自己管理がおすすめです。
28錠タイプの場合
28錠タイプの場合は、1シートに含まれる28錠を毎日1錠ずつ決まった時間に服用し、すべて飲み終えたら翌日からすぐに次のシートを開始します。
28錠タイプには、ホルモンが含まれている21錠の実薬と、有効成分を含まない7錠の偽薬が含まれているため、休薬期間中も錠剤を飲み続けるのが特徴です。
偽薬の飲み忘れは効果に影響しませんが、実薬を飲み忘れた場合は避妊効果が低下してしまう可能性があるため、飲み忘れを防ぐ工夫が大切です。
低用量ピルの効果が現れるタイミング

低用量ピルには、主に以下の効果が期待できますが、それぞれ効果が現れるタイミングが異なります。
- 避妊効果
- 生理痛・PMSを緩和する効果
- ニキビ・肌荒れなどを改善する効果
何日飲むとそれぞれの効果が期待できるのかについて解説します。
避妊効果
低用量ピルの避妊効果は、生理初日に服用できた場合は当日から、それ以降に服用を開始した場合は7日間の連続服用後に得られるとされています。
Day1スタートの場合は服用初日から避妊効果が得られるとされていますが、それ以外のタイミングに低用量ピルを飲み始めた場合は、7日間連続で服用するまでは避妊効果が十分に得られないと考えましょう。
妊娠を望まない場合、避妊効果が安定するまでは他の避妊方法を併用する必要があります。
生理痛・PMS
生理痛やPMSを緩和する効果は、服用を開始してから1〜2ヶ月後に現れるとされています。
生理痛の原因は、子宮内膜から分泌されるプロスタグランジンと呼ばれる物質です。
プロスタグランジンには、子宮を収縮させて不要になった子宮内膜を体外に押し出す働きがあるため、子宮内膜が肥厚すると分泌量が増加し、強い生理痛を引き起こす場合があります。
また、生理前になるとホルモンバランスが乱れ、さまざまな身体症状やイライラ・情緒不安定などの症状が現れるケースもあります。
低用量ピルにはホルモンバランスを安定させる作用があるため、生理に関するこれらの悩みを改善したい方におすすめです。
ニキビ・肌荒れなどの症状
肌荒れやニキビなどの気になる症状は、低用量ピルの服用を開始してから2〜3ヶ月後に実感しやすいとされています。
生理前に分泌が減少するエストロゲンには、コラーゲンやエラスチンの生成を促進し、肌の潤いを保つ役割があります。
一方で、プロゲスチン(黄体ホルモン)は生理前になると分泌量が増加し、皮脂の分泌を促進することでニキビをできやすくするホルモンです。
低用量ピルを服用すると、体内のホルモンバランスを安定させてさまざまな肌トラブルを改善に導く効果が期待できます。
また低用量ピルは、男性ホルモンの分泌を抑制することでニキビをできにくくするとも考えられています。
生理中に低用量ピルを飲むと生理は止まる?

生理中にピルを服用すると、以下の作用が起こる場合があります。
- 経血の量が減る
- 生理痛が緩和される
- 体調の変化が起こる
生理中に低用量ピルを服用すると、ホルモンの影響で子宮内膜が薄くなり、経血の量が減少することで生理の期間が短く感じられるケースがあります。
通常の生理は3〜7日間であれば正常とされていますが、低用量ピルを服用した場合は2〜3日ほどで生理が終わることもあるでしょう。
ただし、来ている生理が低用量ピルの服用を開始してすぐに止まるわけではありません。
また、服用を始めてから最初の段階では、身体が低用量ピルに慣れておらず不規則な出血が起こる場合もありますが、効果が安定してくると休薬期間に規則正しく生理が来るようになります。
さらに、慣れるまでの期間は副作用や精神的な症状が生じやすくなる可能性も理解しておくことが大切です。
副作用の症状が強い、3ヶ月以上経過しても改善されない、出血量が多いなどのケースでは、放置せず医療機関を受診してください。
低用量ピルを飲み忘れたらどうする?

低用量ピルを飲み忘れた場合、再び避妊効果を得るためには正しい方法で対処する必要があります。
以下では、低用量ピルを飲み忘れた場合の対処法について解説します。
21錠タイプの場合
21錠タイプの場合は、飲み忘れに気が付いたタイミングによって対処法が異なります。
12時間以内に前日の分を飲み忘れたことに気が付いた場合は、気付いた時点で飲み忘れた分の1錠を服用し、その日の分も予定通り服用します。
2日連続で低用量ピルを飲み忘れ、3日目の服用時に飲み忘れが発覚した場合は、最終日の飲み忘れ分とその日に服用する分を合わせて服用し、飲み忘れ1日目の分は破棄してください。
2日以上連続で飲み忘れが続いた場合は避妊効果が低下している可能性が高いため、他の避妊方法を併用するか、性交渉を控える工夫が必要です。
飲み忘れた際に1日に服用できるピルは2錠までで、3日以上連続で飲み忘れた場合でも3錠を1日に服用することは避けましょう。
飲み忘れが続いた場合は、一度服用をリセットして新しいシートから再開したほうがいいケースもあるため、適切な対処について医師に相談することをおすすめします。
28錠タイプの場合
28錠タイプの場合は、実薬を飲み忘れた場合に限り対処が必要です。
偽薬にはホルモンが含まれていないため、飲み忘れても効果に影響を及ぼすことはありません。
ただし、余った錠剤によって正しい休薬期間が分からなくなる可能性があるため、飲み忘れた偽薬は翌日以降に持ち越さず、破棄してください。
それ以外の飲み忘れへの対処は、21錠タイプと同様です。
その他のピルの服用タイミング

ピルは、種類によって服用のタイミングが異なります。
- 超低用量ピル
- 中用量ピル
- アフターピル
- ミニピル
以下では、それぞれのピルをいつ飲むのかについて解説します。
超低用量ピル
超低用量ピルはエストロゲン(卵胞ホルモン)の含有量が0.03mg未満のピルで、低用量ピルと同様に生理開始から1〜5日までに服用を開始するのが一般的です。
ただし、休薬期間が4日間であるヤーズや、最長で120日間連続で服用できるヤーズレックスなどの種類もあります。
種類によって飲み方が異なるため、正しい服用方法について事前に確認することが大切です。
中用量ピル
中用量ピルは、生理の移動や緊急避妊に用いられるピルで、用途によって服用を開始するタイミングが異なります。
生理を早めたい場合は、早めたい生理の1つ前の生理開始から5日以内に飲み始め、毎日1錠ずつ10日以上(最大14日)服用してから飲むのをやめると、2〜3日後に生理がきます。
イベントの前に生理が終わるようにコントロールできる点がメリットですが、前の生理の段階から服用を開始するため、早めの受診が必要です。
反対に遅らせたい場合は、遅らせたい生理予定日の5日前から飲み始め、生理を避けたい期間中、服用を継続します。
避けたい生理予定日の5日前までであれば対応可能ですが、副作用がイベントと重なる可能性がある点に注意が必要です。
また、中用量ピルを緊急避妊薬として使用する場合は、妊娠の可能性がある性交渉からできるだけ早く(遅くとも72時間以内)に2錠服用し、その12時間後にさらに2錠の合計4錠を服用します。
アフターピル
アフターピルにはいくつかの種類がありますが、2026年4月現在で日本国内で承認されているアフターピルはノルレボ(ジェネリックを含む)のみです。
避妊を伴わない性交渉をした後、できるだけ早く(遅くとも72時間以内、推奨時間は24時間以内)1錠を服用することで望まない妊娠を予防する効果が期待できます。
アフターピルは服用前の性交渉に対してのみ効果を発揮するため、服用後に再び性交渉を行うと妊娠する可能性があるため、注意が必要です。
アフターピルの服用後は消退出血が起こるケースがあり、場合によっては経血との区別が難しいため、性交渉後3週間が経過したタイミングで一度妊娠検査薬を使用して妊娠の有無を確認することをおすすめします。
ミニピル
ミニピルはエストロゲンを含まず、プロゲスチンのみが配合されているピルで、血栓症のリスク要因がある方でも服用しやすい点が特徴です。
セラゼッタ(2026年4月現在で国内未承認)やスリンダなどの種類があり、セラゼッタの場合は実薬のみ、スリンダの場合は実薬と偽薬を含むシートを毎日欠かさず服用します。
ミニピルは、服用時間が3時間以上ズレると避妊効果が低下する種類もありますが、スリンダの場合は24時間までのズレであれば避妊効果が維持できるとされています。
まとめ
低用量ピルは、状況に応じて開始するタイミングを決定できます。
ただし、生理1日目以外に服用し始める場合は、医師に事前に相談したり、効果が現れるまでの期間を把握しておいたりすることが大切です。
ピルは、望まない妊娠から女性の身体を守る手段のひとつであるため、適切に服用することで有効に活用しましょう。
高村医院では、低用量ピル・中用量ピル・アフターピル・ミニピル(スリンダ)を、患者様の目的に合わせて選択いたします。
低用量ピルは、1層性のマーベロンと3層性のアンジュを取り扱っているため、体質や希望を考慮した処方が可能です。
ピルの使用を検討中の方は、ぜひお気軽にご相談ください。
