
ミレーナを装着したあとに不正出血が続いて「生理が終わらない」「これは正常な反応?」「鮮血が出て不安」と感じている方もいるかもしれません。
ミレーナ装着後の不正出血はよく見られる副作用(マイナートラブル)であり、多くは時間が経って身体が慣れてくるにつれて落ち着いてきます。
ただし、中には受診を検討した方がいいケースもあるため、正しい情報を知っておきましょう。
この記事では、ミレーナ装着後の不正出血について、原因・続く期間の目安・受診が必要なサイン・対処法までわかりやすく解説します。
不正出血はミレーナでよく見られる副作用(マイナートラブル)

不正出血は、ミレーナ装着後によく見られる代表的な副作用(マイナートラブル)の一つです。
ミレーナの添付文書にも、装着後は出血パターンが不規則になり、特に装着後数か月間は月経中間期の出血が見られることが多いと記載されています。
これらの出血は装着を継続するうちに徐々に消失していくのが一般的な経過です。
個人差があるため予測は難しいものの、5年間の使用期間のうち、最初の数か月は出血があるものと考えておきましょう。
数か月ほど経って落ち着くと、経血量が減り、月経痛の改善効果を感じる方が多い傾向にあります。
(参考:KEGG『医療用医薬品 : ミレーナ』)
なぜ?ミレーナ装着後に不正出血が起こる原因

ミレーナ装着後の不正出血は、黄体ホルモン(レボノルゲストレル)の作用による子宮内膜の変化が主な原因です。
ミレーナからは黄体ホルモンが少量ずつ子宮内に持続的に放出され、子宮内膜の増殖を抑える働きをします。
これにより内膜は薄く剥がれやすい状態になり、月経以外のタイミングでも少量の出血が生じやすくなるのです。
不正出血は身体が新しいホルモン環境に適応するまでの一時的な反応であり、多くは時間の経過とともに落ち着いていきます。
高村医院では、装着後1か月・3か月・1年ごとの定期検診を行い、位置異常や副作用の有無を確認しています。
不安な症状がある場合や、何か気になることがある場合は、いつでもお気軽にご相談ください。
ミレーナの不正出血はいつまで続く?

ミレーナの不正出血には個人差がありますが、多くは時間の経過とともに落ち着いていきます。
ここでは一般的な経過の目安について解説します。
目安は2〜3か月程度
ミレーナ装着後の不正出血は、2〜3か月程度を目安に考えておくといいでしょう。
ただし個人差が大きく、ほぼ不正出血がない方もいれば、3〜4か月間はほぼ毎日のように少量の出血が続く方もいます。
出血の色は茶色っぽいことが多く、おりものシートで対応できる程度の量にとどまる方が大半です。
日常生活に支障が出ない範囲であれば慌てることはなく、基本的には様子を見ることが多いでしょう。
長くても6か月程度で落ち着くケースが多い
ミレーナ装着後の不正出血は、長い場合でも6か月程度で落ち着くケースが多いとされています。
時間の経過とともに子宮内膜が安定し、出血頻度も減少していく傾向があります。
また、ミレーナを継続使用しているうちに、以下のような変化を感じる方もいます。
- 生理の量がかなり減る
- 生理痛が軽くなる
- 月経自体が来なくなる(無月経)
実際、装着後1年が経過した時点で約20%の方は月経そのものが起こらなくなるとされており、装着後しばらく続く不正出血を乗り越えれば、快適に過ごせる方が多いです。
ただし、半年以上経っても改善しない場合や、急に出血量が増えた場合には注意が必要です。ミレーナのズレ・脱出・感染症などの可能性もあるため、一度婦人科で確認を受けましょう。
「そのうち治るだろう」と我慢を続けるより、異常がないことを確認することが安心につながります。
(参考:バイエル薬品株式会社『ミレーナ52mgをご使用中のみなさまへ』)
ミレーナ装着後の不正出血で受診が必要な症状

ミレーナによる不正出血の多くは一時的なものですが、中には早めの受診が必要なケースもあります。
以下のような症状が見られる場合は、一度早めに婦人科で相談しましょう。
- 大量出血が続く
- 強い腹痛や発熱を伴う
- 悪臭のあるおりものがある
- 性交渉後に強い痛みや出血がある
- 月経のような塊が混じっている
- 無月経だったが出血が始まった
ここでは、それぞれの症状について詳しく解説します。
大量出血が続く
通常のミレーナによる不正出血は少量であることが多く、大量出血が長期間続くケースは一般的ではありません。
急に出血量が増えた場合や大量の出血が見られる場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。
強い腹痛や発熱を伴う
下腹部痛が軽度であれば装着後にみられることがありますが、強い下腹部痛や発熱を伴う場合は、感染症が起きている可能性があります。
ミレーナでは、まれな合併症として「骨盤内炎症性疾患(PID)」や「子宮穿孔」があります。
「いつもの生理痛とは明らかに違う痛み」「鎮痛剤を服用しても和らがない痛み」「38度以上の発熱を伴う」といった場合は、我慢せずに速やかに医療機関を受診しましょう。
悪臭のあるおりものがある
通常の不正出血では、強い悪臭を伴うことは基本的にありません。
不正出血と一緒に生臭い・腐敗臭・魚のような臭いのあるおりものが見られる場合は、感染症の可能性が考えられます。
考えられる代表的な疾患は、細菌性腟炎、トリコモナス腟炎、クラミジア感染症などです。
灰白色や黄緑色のおりもの、泡状のおりもの、外陰部のかゆみや痛みを伴うときには、抗菌薬による治療が必要となるケースもあるため、早めに婦人科で検査を受けるようにしましょう。
性交渉後に強い痛みや出血がある
性交渉のあとに強い痛みやまとまった量の出血が生じる場合は、ミレーナの位置のズレなどなんらかの異常が起きている可能性があります。
ミレーナの装着自体は、本来であれば性交渉に支障を与えるものではありません。
装着後に違和感・痛み・出血が明らかに見られるときには、何らかの異常が起きているサインと捉えるべきでしょう。
なお、ミレーナに性感染症を予防する効果はありません。もしも性感染症が心配な場合は、必要な検査もあわせて行いましょう。
月経のような塊が混じっている
少量の茶色い出血は比較的よくみられますが、月経のように大きな血の塊が混じることが続く場合は、ミレーナの位置がズレているなどの可能性があります。
トラブルなく使い続けるためにも、一度婦人科を受診して詳しくチェックしてもらいましょう。
無月経だったが出血が始まった
ミレーナ装着後は、黄体ホルモンの作用によって子宮内膜が薄く保たれるため、月経量が大きく減少したり、無月経になる方もいます。
これはミレーナ使用中に見られる変化であり、必ずしも異常ではありません。
しかし、しばらく無月経だった方が急に出血するようになった場合は、一度婦人科で診察を受けましょう。
ミレーナの製造元であるバイエル薬品株式会社の患者様向けハンドブックでも、無月経の方で出血が始まった場合は、受診を勧めています。
(参考:バイエル薬品株式会社『ミレーナ52mgをご使用中のみなさまへ』)
ミレーナの不正出血以外の副作用

ミレーナの装着後、不正出血以外にもいくつかの副作用がみられることがあります。
多くは装着初期に一時的に起こる軽度な症状であり、時間の経過とともに落ち着いていきますが、どのような副作用があるかを知っておきましょう。
ここでは、比較的みられやすい副作用や注意したい合併症について解説します。
下腹部痛
ミレーナを装着した直後から数日間は、子宮内に異物が入った刺激により、軽い生理痛のような下腹部痛が生じることがあります。
多くは数日ほどで軽快し、日常生活に支障が出るような痛みであれば、市販の鎮痛剤で対応できる場合が大半です。
おりものの増加
ミレーナ装着後に「おりものが増えた」と感じる方もいます。ホルモン環境の変化や、少量出血が混じることによって、おりものの量や色が変化するためです。
色や臭いに大きな異常がなく、サラサラした透明〜白色のおりものであれば、過度に心配する必要はありません。
ナプキンやおりものシートは雑菌が繁殖しやすいため、長時間つけたままにせず、2〜3時間を目安にこまめに交換することがトラブル予防につながります。
ただし、以下のようなおりもの・症状がある場合は感染症の可能性があるため、早めに婦人科へ相談しましょう。
- 強い悪臭
- 黄緑色のおりもの
- 発熱や腹痛
腰痛
ミレーナを装着してから数日間は、下腹部痛と同じく腰の痛みや重だるさを感じる方もいます。
多くは一時的な症状で、時間の経過とともに改善する傾向があります。
月経周期・量の変化
ミレーナ装着後は、月経周期や経血量が変化することがあります。これは黄体ホルモンによって子宮内膜が薄く保たれるためです。
- 生理期間が短くなる
- 経血量が減る
- 月経が不規則になる
- 月経が来なくなる(無月経)
特に過多月経で悩んでいた方では、装着後に経血量が大きく減少するケースも少なくありません。
月経が来なくなることに不安を感じる方もいますが、これはミレーナの作用で子宮内膜が薄く保たれている状態であり、卵巣機能も正常で、医学的には問題のない反応です。
一時的な乳房の張り
ミレーナ装着後、一時的に乳房の張りや違和感を感じる方もいます。
黄体ホルモンの影響による症状のひとつと考えられており、身体が慣れていくことで和らぐことが一般的です。
ただし、乳房に明らかなしこりを感じる、痛みが強く長期間続くといった場合は、ミレーナとは別の原因(乳腺疾患など)の可能性もあるため、婦人科での検査を検討しましょう。
その他のまれな副作用・合併症
まれではあるものの、ミレーナでは以下のような合併症が起こることがあります。
- ミレーナの脱出
- 子宮穿孔
- 骨盤内感染症
- 異所性妊娠
強い腹痛・発熱・大量出血などを伴う場合は、自己判断せず速やかに医療機関を受診してください。
装着後は1か月後・3か月後・以後1年ごとの定期検診を欠かさず受け、超音波検査でミレーナの位置を確認してもらうことが安全に使い続けるうえで重要です。
ミレーナ装着後の不正出血を防ぐ方法はある?

ミレーナ装着後の不正出血は黄体ホルモンの作用によるものであり、完全に防ぐことは難しいものの、以下のような工夫ができます。
| 対策 | 内容 |
| 月経4〜7日目の挿入 | 子宮内膜が薄い時期に装着することで出血を抑えやすい |
| 事前のピル・黄体ホルモン剤服用 | 挿入の3か月ほど前から内膜を薄くしておく方法 |
| 定期検診の受診 | ミレーナの位置を確認し、ずれ・脱落を早期発見 |
| 生活習慣を整える | 睡眠・栄養・ストレスケアなど体調管理を心がける |
ミレーナの装着タイミングについては、月経の量が多い時期だとミレーナが月経とともに排出されてしまうリスクもあるため、月経4日目〜7日目あたりが望ましいとされています。
高村医院でも、月経5日目を目安にミレーナの装着を行っています。
ミレーナ装着後の不正出血についてのよくある質問

ミレーナ装着後の不正出血には個人差があるため、「これは正常なの?」「受診した方がいい?」と不安になる方も少なくありません。
ここでは、患者様からいただくことの多いよくある質問について解説します。
Q:毎日少量出血するのは異常ですか?
A:装着後の数か月間であれば、毎日少量の出血が続くこと自体は珍しくありません。
個人差がありますが、子宮内が黄体ホルモン環境に慣れるまでの過程で、ほぼ毎日のように少量の出血が見られる方もいます。
出血量がおりものシートで対応できる程度で、強い痛みや発熱、悪臭などを伴わなければ、経過観察で問題ないことが多いですが、気になる症状があるときは婦人科で超音波検査などを受けるようにしましょう。
Q:茶色の不正出血は問題ありませんか?
A:茶色い不正出血はミレーナ装着後によくみられる症状で、古い血液が少量ずつ排出されている状態であることが多く、問題ないことがほとんどです。
ただし、茶色のおりものが長期間続いていたり、量が多くなってきたり、生臭い臭いを伴うような場合は一度婦人科で相談しましょう。
Q:不正出血と生理の違いはなんですか?
A:不正出血と生理は、起こるタイミング・出血量・持続日数などに違いがあります。
| 項目 | 不正出血 | 生理 |
| タイミング | 不規則 | 周期的(25〜38日サイクル) |
| 出血量 | 少量がダラダラ続くことが多い | 徐々に増減する |
| 色 | 茶色・ピンク・鮮血など様々 | 鮮血が中心 |
| 期間 | 数時間〜長期間とさまざま | 通常3〜7日程度 |
ミレーナ装着中は経血量が減少し、月経そのものが軽くなる方が多いため、「これが生理なのか不正出血なのか分かりにくい」と感じるケースも少なくありません。
心配な出血が続く場合は、超音波検査でミレーナの位置や子宮内膜の状態を確認してもらうのが安心でしょう。
Q:不正出血がないこともありますか?
A:ミレーナ装着後の反応には個人差があり、不正出血がほとんどない方もいます。
ミレーナ装着後の不正出血は高頻度で起こるマイナートラブルですが、その有無や程度には個人差が大きく、装着直後からトラブルなく経過する方も一定数存在します。
ただし、ミレーナの正しい位置を確認するためにも、定期検診は必ず受けるようにしてください。
Q:不正出血がなくならない場合は抜去した方がいいですか?
A:不正出血だけを理由に、すぐ抜去が必要になるとは限りません。ミレーナ装着後の不正出血は、装着後6か月を過ぎる頃には、大半の方で落ち着くためです。
抜去するかどうかは、不正出血のつらさとミレーナによる治療メリット(過多月経・月経困難症の改善、避妊効果など)のバランスを考え、医師と相談しましょう。
まとめ
ミレーナ装着後の不正出血は、比較的よくみられる副作用の一つです。
不正出血の症状や期間には個人差がありますが、多くは2〜3か月ほど、長くても6か月ほどで落ち着くことが一般的です。
ただし、大量出血・強い腹痛・発熱・悪臭のあるおりものなどが見られる場合は、感染症やミレーナのズレなどが起きている可能性もあるため、放置せずに婦人科を受診しましょう。
新宿区四谷三丁目駅から徒歩1分にある高村医院ではミレーナ装着後の経過観察や副作用のご相談にも対応しています。
女性のライフステージに寄り添った診療を通じて、安心して治療を続けられるようサポートいたします。
